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2017年09月のエントリー一覧

  • 【本の情報】 対局のドラマ、人生に似て 柚月裕子さん「盤上の向日葵」

     連載を始めたのは2年前。空前のブームは予想もしていなかった。骨太なミステリーで人気の作家、柚月裕子さんの新作は将棋がテーマ。『盤上の向日葵(ひまわり)』(中央公論新社・1944円)は、天才棋士の過酷で謎に満ちた人生を2人の刑事がたどる長編ミステリーだ。 土に埋められていた遺体は袋に入った1組の将棋の駒を握っていた。しかもそれは幻の名駒。志半ばで棋士を諦め、刑事になった新米の佐野と、将棋は素人だが...

  • 【本の情報】 漫画編集部舞台に自伝的小説 『編集ども集まれ!』藤野千夜さんに聞く

     芥川賞作家・藤野千夜さんの新作『編集ども集まれ!』(双葉社)は、出版社の漫画編集部を舞台にした、藤野さんの自伝的長編小説だ。「ずっと封印していた過去」を綴ることになった思い、物語の中にあふれる漫画愛について語ってもらった。 ■「エピソードは実話」 1985年、中学校から大学まで漫研で過ごした小笹一夫は、中堅出版社「青雲社」の青年漫画誌編集部で働き始める。キャラの濃い上司や先輩にもまれ、人気漫画家たちの...

  • 【本の情報】 SLEEP―最高の脳と身体をつくる睡眠の技術 [著]ショーン・スティーブンソン

    ■様々な論文もとに実用的提案 売れる実用書の条件は何か。 一つはその本の扱う問題が普遍的に関心が高く方法が容易なことだ。ダイエットや部屋片付けは骨董(こっとう)鑑定より売れる。手を回すだけで痩せる、ともかく行動しろ、何回も単純作業を繰り返せという本は実際売れるが、千日間荒行をしろという本は誰も買わない。 あとは、提案内容に説得力がある、共感を呼ぶという要素である。よくあるパターンは、どん底まで落ちた著...

  • 【本の情報】 パパは脳研究者―子どもを育てる脳科学 池谷裕二さん

    ■思考力の発達をサポートする 池谷裕二さん 「育児も研究も楽しい」と笑う東京大学教授の池谷(いけがや)裕二さんは、複雑な脳のメカニズムを門外漢にもわかりやすく解き明かす。本書は長女の誕生から4歳の誕生日までを、自身の研究をふまえつつ見守ったユニークな育児記録だ。類書とは異次元の説得力がある。 特に興味深いのは時間や空間を把握し、言葉や数などの理解力を獲得していく幼児の脳の急成長ぶりだ。例えば記憶の蓄...

  • 【本の情報】 団塊への新たなメッセージ 『60歳からの楽々男メシ』弘兼憲史さんに聞く

    『島耕作』や『黄昏流星群』など、ロングセラーを生み出し続けている漫画家の弘兼憲史さんは、同世代のシニアに向けたエッセイ集も多い。その弘兼さんが7月に『弘兼流60歳からの楽々男メシ』(マガジンハウス)を出版した。弘兼さん流の「男の料理」は、どんな料理なのだろう。楽しみ方をうかがった。 ■仕事場で毎日作る ????『60歳からの楽々男メシ』の巻頭には、弘兼さんが仕事場で毎日、作っていらっしゃる料理写真がカラーで...

  • 【本の情報】 増えつづける本 場所ない、家計圧迫、それでも… 椹木野衣

    『本で床は抜けるのか』の著者・西牟田靖さんの部屋(本人提供) いま、家の建て替えで仮住まいに溢(あふ)れた段ボール箱に囲まれながら思うのは、お父さん、あなたのことです。地元の小さな書店から毎週のように大きな本の包みが届くと、家族はみな呆(あき)れていましたよ。念願の二階建ての家を新築したとき、あなたの書斎は床から天井まで、すべて本棚でした。それでも収まりきらないことを知ったあなたは、鉄筋で別棟を増...

  • 【本の情報】 ホワイトラビット/AX [著]伊坂幸太郎

    ■また会いたくなる殺し屋たち 犯罪者を主人公にした著者のエンタメ小説には、繰り返し読ませる魅力がある。ストーリーの面白さだけでなく、個性豊かな殺し屋や泥棒にもう一度会いたくなってしまうのだ。社会的に悪者ではあるのだが、巨大な悪と対決するヒーローを演じることがあるし、人間の弱さをさらけ出すこともある。著者が造り出した犯罪者たちの実相は複雑で簡単につかめない。ゆえに興味が尽きない。 『ホワイトラビット』...

  • 【本の情報】 文学効能事典―あなたの悩みに効く小説 [著]エラ・バーサド、スーザン・エルダキン

     本読書欄にも「悩んで読むか、読んで悩むか」というお悩み相談コーナーがあるけれど、それをもっと強烈にしたのが本書。なにしろ文学愛好家は〈大昔から小説を軟膏(なんこう)のように使って傷をいやしてきた〉のであるから、その効能は下手な薬の比ではないというわけだ。題して読書療法(ビブリオセラピー)。 インフルエンザにかかったときは『アクロイド殺害事件』、死ぬのがこわいときは『百年の孤独』。周囲に溶け込めな...

  • 【本の情報】 労働時間がいちばん長い都道府県は?_ランキングで明らかになる「格差」

     労働時間が長い都道府県1位はどこだろうか? 近年、ブラック企業が問題視されているが、ニュースになるのは大都市かその周辺にある都道府県のようなイメージがある。 ところが、厚生労働省の「毎月勤労統計調査」(2015年)によると、労働時間が長い都道府県1位は、意外なことに「福島県」だという。 この調査は、「5人以上の事業所」と「30人以上の事業所」に分けられているが、どちらも1位は「福島県」。 ちなみに、5人以...

  • 【本の情報】 自由奪われてもあきらめず 堀川惠子、戦禍の演劇人描く

    堀川惠子さん 戦時下でも、自分たちの芝居をあきらめなかった人々がいた。その結果、劇団「桜隊」は疎開先の広島で原爆に遭い、全滅したという。命拾いをした演出家の人生を通して、激しい波にさらされた演劇界を活写する作品を、ノンフィクション作家堀川惠子さん(47)が著した。 『戦禍に生きた演劇人たち』(講談社)。演出家八田元夫(1903~76)が残した資料を丹念にたどり、戦前から戦後に至る演劇界の動きを追っ...

  • 【本の情報】 たけしさん、初の純愛小説「アナログ」 又吉さん芥川賞に奮起

     お笑い界と映画界の巨匠が文学界に参入する。ビートたけしさん(70)が「こんな恋がしたい」という純愛を描いた小説「アナログ」を書き下ろした。著書は多数あるが「(詩集以外では)ゴーストライターではなく初めて自分で書いた」と告白。19日、東京都内で思いを語った。 「アナログ」は、30歳をすぎたインテリアデザイナーが、偶然出会った女性と恋に落ちる物語。連絡先も知らず、毎週決まった場所で会うことを頼りに、...

  • 【本の情報】 未来の年表 [著]河合雅司

    ■砕かれる楽観、明快な処方箋 少子高齢化社会で日本の人口は減っていく。今さら改めて言われなくても、日本人なら誰でも知っている話だ。とはいえ、そうは言っても何とかなるだろうと楽観的に考えている人も少なくないのではないか。江戸時代には日本の人口は3千万人足らずだったのだから、同じぐらいに人口が減ったとしても大丈夫だろうという楽観。生産年齢人口が減っても、無理して経済成長しなくていいという楽観。江戸時代の...

  • 【本の情報】 Book_&_Review_恩田陸さんセレクト「食べる本」レビュー掲載中

    読者の皆様の書評が、作家やタレントに選ばれて朝日新聞とBOOK asahi.com内に掲載される企画「Book&Review」が更新されました。今月号のテーマは「食べる!」本。恩田陸さんが選んだ、読者おすすめの一冊をご紹介します。さらに9月のおすすめ新刊書評も多数掲載し、充実した内容をお楽しみいただけます。 また、10月号に掲載する「おススメ本」のレビューを募集しています。10月号のテーマは「音を楽しむ本」。セレクターは作...

  • 【本の情報】 「壁」を考える 分断の現場から想像力広げる 今福龍太

     境界とは曖昧(あいまい)な存在である。それが「分断」する、といえば力にまかせた暴力的な装置に思えるが、「横断」する、といえば横にたち切るという意味よりは、むしろ異なった領域を超えてつながる、という創造的な意味になる。こうした正反対の用法に開かれていることこそ境界の多義性ゆえである。人間は無数の境界を社会生活の中に引きながらも、それをただの障害とは考えず、意識の跳躍の足がかりにして、境界を越えて往...

  • 【本の情報】 R帝国 [著]中村文則

    ■現実と不気味につながる暗黒郷 暗黒の未来を描き出すディストピア小説には、時代を映す鏡のような意味がある。著者はあとがきで「今僕達が住むこの世界」と小説世界との因果関係に触れている。現実との不気味なつながりがじわりとしみてくる力作ゆえに、不幸な同時代の産物と言えるだろう。 物語の舞台は、絶対権力の「党」に支配された島国・R帝国。国民の圧倒的な支持のもとに他国との戦争を繰り返す。党の施策に疑問や反感...

  • 【本の情報】 沖縄戦、示すリアリティー 池上永一「ヒストリア」

     『テンペスト』や『風車祭(カジマヤー)』など沖縄の文化を鮮やかに描く作家、池上永一さん。前作から4年ぶりとなる長編『ヒストリア』(KADOKAWA)は沖縄からボリビアに移民する者たちの物語だ。デビューから23年、初めて沖縄戦を取りあげた作品になった。 1945年3月の沖縄から物語は始まる。爆風の下を逃げ回り、少女はしたたかに生きのびる。戦後、移民船に紛れ込むが、たどり着いた先は「夢の楽園」とはほ...

  • 【本の情報】 「報酬」と「罰金」、どちらの方が強いモチベーションになるのか?

    部下や同僚のモチベーションを引き出すために「罰金」と「報酬」を与えるのでは、どちらが効果的だろうか? 「モチベーション」とは、「行動のための動機、理由」のこと。部下や同僚に「この仕事を迅速に処理しよう」「生産性のある仕事をしよう」を思わせるには、「動機」や「理由」を上手に与えたり刺激したりすることが必要だ。その選択を誤れば、やる気や意欲は下がってしまう。 そんな、部下や同僚のモチベーションコントロー...

  • 【本の情報】 いつか笑って、語り合えるように 水無田気流さん

    ■相談 スレ違いの親子関係を修復したい 高校3年生の娘がいます。ずっとおとなしい性格の子でした。しかし、中学の頃に自我に目覚めたのか、言いたいことをずけずけ言ってくるようになりました。それも成長だと思い接してきましたが、親子関係が修復できないまま、日々を過ごしています。もうすぐ進路を決めるとき! スレ違いに区切りをつけたいです。 (山口県、主婦・43歳) ■今週は水無田気流さんが回答します おつらいでし...

  • 【本の情報】 (舞台裏)これが「建築文学」?解説で氷解

     3月に刊行された講談社文芸文庫の『建築文学傑作選』(1998円)が好評だ。現在、2刷3700部。文芸文庫では異例の売れ行きという。建築家の青木淳さんの選。須賀敦子「ヴェネツィアの悲しみ」、開高健「流亡記」、芥川龍之介「蜃気楼(しんきろう)」、幸田文「台所のおと」など10人の作家の作品が収録されている。 まず思うのは「これがどうして建築文学なの?」。その疑問は、巻末の青木さんの解説で氷解する。作品...

  • 【本の情報】 闘う文豪とナチス・ドイツ―トーマス・マンの亡命日記 池内紀さん

    ■強い精神力、ヨーロッパの底力 「姿のいい人でしょう」と、池内紀さんは本の帯にあるトーマス・マンの写真を指さした。端正で知的、威厳のある紳士。「こんな人の本を、小さい本でも1冊書きたいなと思ったんです」 20世紀を代表するドイツの作家マン(1875~1955)は、ナチスに批判的だったため帰国を差し止められ、亡命。主に米国を拠点に講演やラジオでナチス打倒を訴え続け、かつ小説を書いた。その間の日記を邦訳...

  • 【本の情報】 出版不況・活字離れというけれど… 文芸誌新人賞の応募、根強く

    文芸誌5誌の新人賞応募数と主な受賞者 芥川賞みたいに有名ではないけれど、作家を世に送り出す重要な役割を長年果たしてきたのが、文芸誌の公募新人賞。「出版不況」「活字離れ」と言われる昨今、応募は下火かと思ったら、実は意外に堅調らしい。いったい、なぜ?  ■SNS普及、「書く」こと日常化 5月の連休明け、都内で開かれた「文学界新人賞」の贈呈式。ジャケットにメガネ、細身の男性がそこにいた。 沼田真佑さん。...

  • 【本の情報】 被災地に投げかける小説発掘 「仙台短編文学賞」

     東日本大震災後の東北を新しい言葉で表現するための枠組みを作ろうと、仙台市の出版社や新聞社が「仙台短編文学賞」を新設した。東北と関わりのある小説を全国から募り、被災地に投げかける文学を発掘する。大賞受賞作は文芸誌「小説すばる」(集英社)などに掲載する。 募集するのは、ジャンルを問わない未発表の自作小説。1人の選考委員が選ぶ形式で、初回は作家の佐伯一麦さんが務める。佐伯さんは「被災した小学生も、自分...

  • 【本の情報】 部活動のこれから 「楽しみ」引き出す道を探る 荻上チキ

     現在、社会のモードの問い直しが起きている。全体秩序と大量生産を重んじる近代初期のモードをだらだらと継続してきたことで、人々の個性にマッチしない制度が温存されてしまっている場面は多い。働き方問題もさることながら、教育現場もその一つだ。 教育とは大人が子どもに一方的に与えるものではない。教育とはeducationの訳語であり、この言葉は明治期に入ってから使われるようになった。元のラテン語からは「引き...

  • 【本の情報】 泣き虫弱虫諸葛孔明―第伍部 [著]酒見賢一

    ■再挑戦に共感、わくわく物語 14年にわたって書き継がれた酒見賢一の大作『泣き虫弱虫諸葛孔明(しょかつこうめい)』が、「第伍(ご)部」となる本書をもって完結した。 タイトル通り、この作品は諸葛孔明を主人公にしている。天才軍師として人気の孔明も、著者の手にかかると、難解な宇宙哲学を語り、いじめた相手には火計(放火)で復讐(ふくしゅう)し、仙人風のコスプレをしているエキセントリックな人物に変わる。 さらに...

  • 【本の情報】 帝国と立憲―日中戦争はなぜ防げなかったのか [著]坂野潤治

    ■デモクラシーの役割と課題問う 本書は、1874年の台湾出兵から1937年の日中全面戦争に至る歴史を、「帝国」対「立憲」という構図のもとに簡明に描き直す。著者によれば、「内に立憲、外に帝国」という二重基準でこの時代を理解するのは誤りであり、立憲が強いときには帝国は抑制され、帝国が伸長するときには立憲は息を潜めた。立憲と帝国は交互に現れたのであり、両者の併存はむしろ例外だった。 この場合の「帝国」は、...

  • 【本の情報】 ボコ・ハラム―イスラーム国を超えた「史上最悪」のテロ組織 [著]白戸圭一

     交通機関が発達し、情報が一瞬で地球をめぐる時代となっても、遠い場所のできごとには、どこか他人ごとという雰囲気が漂う。 大きな事件を耳にしても、自分の常識の範囲内でおおよそこんなところだろうと見当をつけて満足してしまいがちである。 2014年、アフリカでとある武装集団が大勢の女生徒を連れ去り、「少女たちを売り飛ばす」と宣言する映像が世界に流れた。 この映像を見て、いわゆる国際テロ組織がアフリカに進出...

  • 【本の情報】 俳句で触れられる現実、探って 関悦史、句集と評論集

    俳人の関悦史さん(47)が、第2句集『花咲く機械状独身者たちの活造り』(港の人)と、初の評論集『俳句という他界』(邑〈ゆう〉書林)を出した。繊細で鋭敏な感性で多彩な題材を詠み、論じる。 句集には2011~16年の1402句を収めた。一読して感じるのは時代との共振だ。 《原発と妹融けあひて去年今年》 《官邸囲み少女の汗の髪膚(はっぷ)ほか》 茨城県土浦市に住み、東日本大震災では自宅が半壊。被災後の暮らし...

  • 【本の情報】 福永信が薦める文庫この新刊!

     (1)『日本ボロ宿紀行 懐かしの人情宿でホッコリしよう』 上明戸聡著 鉄人文庫 734円 (2)『半身棺桶(かんおけ)』 山田風太郎著 ちくま文庫 1080円 (3)『芭蕉自筆 奥の細道』 上野洋三・櫻井武次郎校注 岩波文庫 1048円 ◇ (1)基準は「ボロい」こと。歴史的に貴重かどうかは関係なし。著者が三〇年近く通ってる「あまり紹介したくなかった」ほどのお気に入りもあれば、飛び込みで訪ねた宿も。...

  • 【本の情報】 (オススメ 編集部から)池澤春菜「タイアップ一切なし」の台湾ごはん

     声優でコラムニストの池澤春菜さんは、約20年前に仕事で訪れて以来台湾の食や街の魅力にはまった。中国茶の国家資格を取るほどの、のめり込みぶりだ。 訪台は40回以上。知人からお薦めの店を聞かれると膨大なリストを渡していたが、その中からえりすぐりの約60店を『最愛台湾ごはん』(KADOKAWA・1512円)にまとめた。「タイアップ一切なし。自分の舌で確かめた本当においしいものだけです。今までの成果を惜...

  • 【本の情報】 ネット発のヒット作 面白さに気づくのは書店員

     インフルエンサー。SNSで影響力を持つ素人がヒット商品を生む時代。本屋に並ぶベストセラーにもネット発のコンテンツが急増中。 『もし文豪たちがカップ焼きそばの作り方を書いたら』は、ネットで話題が拡散した村上春樹の文体パロディーから生まれた本。11万部のヒット中。「ネットでウケたネタを出版社に持ち込んでも、企画会議は通らなかった」とは著者の一人、神田桂一さん。半年間、複数の出版社に持ち込んだ末に書籍...

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