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2018年02月のエントリー一覧

  • 【本の情報】 西部邁氏の仕事 論理的かつ根源的たらんとす 松原隆一郎

    周囲にはよく人が集まり、話すのが好きだった=2010年、東京都内 西部邁氏の膨大な著作は四分野に大別できる。(1)『ソシオ・エコノミックス』(1975年)で開拓した社会経済学、(2)『知性の構造』(96年)に収斂(しゅうれん)した記号論、(3)大衆社会批判と保守主義論、(4)『妻と僕』(2008年)に代表される自伝である。 『経済倫理学序説』はJ・M・ケインズおよびT・ヴェブレンという英米の二大経...

  • 【本の情報】 つながっている命、奇跡的 絵本作家・長谷川義史さん@北九州市立新道寺小

     「はじめまして。ぼくは大阪から来ました。大阪ってこんな形をしてるんやよ」と、絵本作家の長谷川義史さんは筆を執った。チャララ~♪と、口ずさみながら模造紙に筆を走らせると、できたのは丸山裕司校長の似顔絵だ。「似てるー」と男児の声が響くやいなや、児童たちが集まった体育館はどっと笑いに包まれた。 『しってるねん』『いいからいいから』など、多くの自作を用意した長谷川さんはプロジェクターに絵本を映して読み聞...

  • 【本の情報】 リアルな恋愛観、深めあう 教育評論家・尾木直樹さん@宇部市立黒石中(山口)

     「告白するのが怖いです」「愛は愛でも同性愛が分からない」「それ以前に恋愛に興味がありません」 尾木ママさん教えて!「愛」って何ですか? 「尾木ママ」こと教育評論家の尾木直樹さんに、大胆な質問をぶつけてきたのは同校の生徒会。体育館に集まった全校生徒を前に尾木ママトークが炸裂(さくれつ)した。 「中学生に直接、性や愛のお話をするのは初めて●(●はハート) 皆さん、意識が高くてビックリよ!」 というのも...

  • 【本の情報】 少女を殺す100の方法 [著]白井智之

     白井智之は、全身に人面瘡(そう)ができる奇病が流行した日本など、グロテスクで特殊な設定を活(い)かしたミステリーで注目を集めている。 著者初の短編集となる本書は、タイトルに偽りなく二十数人の少女が惨殺される5作が収録されている。 私立の女子中で1クラス全員が射殺され、執拗(しつよう)に顔をつぶされる「少女教室」は、現場の状況から丹念に推理を積み重ねて真相を導き出す終盤が圧巻である。 巨大なミキサ...

  • 【本の情報】 言葉の持つ強さ、色あせない

     ■「うみべのこねこ」 海辺に捨てられたこねこ。空のかもめを見て、飛ぶことに憧れます。ひとりぼっちだったこねこは相棒のかにと出会い、いくつかの失敗を経て、夢見ていた飛ぶことに成功します。そして、新しい世界に胸を躍らせながらさっそうと海辺から旅立つのでした。 奇をてらった展開は一切ありません。しかし、ぐっと、子どもの目線でつづられたシンプルな文章は安心感があり、夢、友情、試練、成長など、この小さな物...

  • 【本の情報】 ハッパノミクス [著]トム・ウェインライト[訳]千葉敏生

     麻薬カルテルと聞けば暴力を武器に勢力を拡大している印象があるかもしれない。だが、組織のボスへの取材や経済学的視点で麻薬ビジネスを分析した本書を読むと彼らの行動原理に驚かされる。 麻薬密売の世界は徹底的に合理性を追求するという。無駄に抗争せずに、必要とあれば商売敵とも手を結ぶ。密入国などの他の違法ビジネスはもちろん、野菜の栽培なども手がけ、事業の多角化に余念がない。メディアを使って情報を発信するし...

  • 【本の情報】 金子兜太さん死去 戦後代表する俳人 98歳

    金子兜太さん 戦後日本を代表する俳人で、前衛俳句運動の中心となり、俳句の可能性を大きく広げた朝日俳壇選者の金子兜太(かねこ・とうた)さんが20日、急性呼吸促迫症候群で死去した。98歳だった。 埼玉県生まれ。旧制水戸高校時代に作句を始め、「寒雷(かんらい)」主宰の加藤楸邨(しゅうそん)に師事した。東京帝国大経済学部を卒業後、日本銀行に入行。海軍士官として南洋トラック島で終戦を迎え、後に復職した。戦後...

  • 【本の情報】 ひねもすのたり日記(1) ちばてつやさん

    ちばてつや=飯塚悟撮影■冗舌に思い伝えられるのが漫画 18年ぶりの新作単行本だ。青年漫画誌ビッグコミックに連載中の作品で、1回の分量は4ページ。「長編小説を書いてきたのが、俳句を書く人になったみたい。ときどき字余りになるけれど」 東京で生まれたが、生後すぐに日本を離れ、終戦まで旧満州の奉天市(現・瀋陽市)で育つ。過酷な引き揚げ体験が作品に出てくる。父の知人にかくまわれた屋根裏部屋で、弟たちのために...

  • 【本の情報】 二月の勝者_―絶対合格の教室― [作]高瀬志帆

    最強最悪の塾講師、登場! もはや東京の小学生にとって、中学受験はまったく特別なものではなくなっている。ほとんどの学校が2月1日に試験を行うが、森上教育研究所によると昨年この日に私立中学を受験した児童は3万6888人。しかし、開成や麻布など誰もが知っている「トップ校」に入れるのは1割程度しかいないという。 佐倉麻衣(まい)は中堅の中学受験塾「桜花ゼミナール」吉祥寺校の新人講師。彼女の目を通して、名門塾...

  • 【本の情報】 〈マンガ今昔物語〉第89回 古代の英雄をハイテンションに描く!

     日本一の成り上がり男といえば豊臣秀吉だが、中国にはそれ以上の立身出世を遂げた人物がいる。一介の農民から身を起こし、皇帝となった漢の高祖・劉邦(りゅうほう)だ。 彼を主人公にした『赤龍王』は、本宮ひろ志が「週刊少年ジャンプ」に連載した最後の作品。1980年代の「ジャンプ」読者には難しかったようで連載は1年あまりで打ち切られたが、単行本は意外なほど版を重ねており、改めて読むと項羽(こうう)の愛人とし...

  • 【本の情報】 〈私のコミック履歴書〉女優 小松菜奈

    ジャズでつながる友情 ――小さいころはどんなマンガを読んでいましたか。 小松 お兄ちゃんはマンガ好きで「コロコロコミック」とかすごい読んでいて、学校ではマンガを回し読みしている友達も多かったんですけど、わたし自身はあまり読む機会がなくて……。本格的に読み出したのは仕事を始めてからだと思います。 ――女優の仕事を始めてからというと、ここ3~4年? 小松 そうですね。演じるキャラクターのイメージをつかみたいので...

  • 【本の情報】 ル・グウィンの世界 日常に冒険見つける魔法の眼 小谷真理

     北のほうからとてつもない寒気団がやってきた冬のさなか、アーシュラ・K・ル・グウィンの訃報(ふほう)を聞いた。今年は〈ゲド戦記〉第1巻『影との戦い』(1968年)がアメリカで刊行されてから、ちょうど半世紀。いっぷう変わったファンタジーだった。 舞台は、群島からなる異世界アースシー。のちに大魔法使いとなるゲドの少年期を描いている。魔法の才能に恵まれていたゲドは自信過剰なあまり言いつけに背き、禁断の魔...

  • 【本の情報】 近代日本一五〇年 [著]山本義隆

    ■国策大学との協働 石牟礼道子さんが亡くなった。ノーベル文学賞には彼女こそふさわしいと考えていたので残念だ。そんな思いを抱えて、『近代日本一五〇年』を読む。石牟礼さんが『苦海浄土』で描いた水俣病は、近代日本を象徴する事件なのだと痛感する。 著者の山本義隆は元東大全共闘の代表。大学アカデミズムとは距離を置き、予備校講師をしながら『磁力と重力の発見』など科学史に関する重要な本を書いてきた。 副題は「科学技...

  • 【本の情報】 核戦争の瀬戸際で [著]ウィリアム・J・ペリー

    ■対話と抑止を両立させる意義 まるで、けんかにはやる子どもたちを諭す老教師の光景だった。90年代末、米議会で北朝鮮政策を語ったウィリアム・ペリー氏の姿を私は今も思いだす。 脅しに屈するのか。なぜ敵と対話するのか。いらだつ議員たちの問いに、元国防長官は噛(か)んで含めるように、対話と抑止を両立させる意義を説いた。 北朝鮮を孤立させれば崩壊すると信じるのは希望的な観測に過ぎない。米軍の態勢を維持しつつ、相...

  • 【本の情報】 ラテンアメリカ五〇〇年―歴史のトルソー [著]清水透

    ■錯綜した世界を分類して考察 私がラテンアメリカの世界に関心をもったのは、文学を通してである。そこには、マルケス(コロンビア)、ボルヘス(アルゼンチン)、そしてオクタビオ・パス(メキシコ)という、まるで異質な世界があった。しかも、それらは同一の基盤にある。なぜ、いかにして、そうなのか。私はその後、中南米の各地に行く機会があったし本も数多く読んだが、実はよくわからないままでいた。本書は、長年私が感じて...

  • 【本の情報】 東直子が薦める文庫この新刊!

     (1)『写真で辿る折口信夫の古代』 芳賀日出男著 角川ソフィア文庫 1685円 (2)『恋する狐』 折口真喜子著 光文社時代小説文庫 626円 (3)『奇跡の人』 原田マハ著 双葉文庫 780円 ◇ 過ぎ去った時代の人の心に寄り添う喜びを感じることのできる3冊を紹介したい。 折口信夫は民俗学者として知られているが、歌人の釈迢空として「人も 馬も 道ゆきつかれ死にゝけり。旅寝かさなるほどのかそけさ」など...

  • 【本の情報】 (関連ニュース)パリ市役所で「浦沢直樹展」

    「MONSTER」などの作品で知られる漫画家、浦沢直樹さんの個展が2月13日、パリ市役所で始まった。フランスでは、ほとんどの浦沢作品が翻訳され、公共図書館にも並ぶ人気だ。浦沢さんは「わずかな線の違いが、登場人物の気持ちを物語る。ひとつとして同じ表情はない。深い読み方をしてくれるフランスの人たちに見てほしい」と話す。 修正液の跡まで分かる原画や子ども時代に描いた絵など400点超を展示する。「YAWA...

  • 【本の情報】 (_オススメ 編集部から_)魚のおいしさ全開の図鑑

     水族館に行くと「この魚おいしいのかな」と食べることばかり考えてしまうあなた。ぴったりの絵本を見つけました。加藤休ミさんの『クレヨンで描いた おいしい魚図鑑』(晶文社、1728円)です。 載っているのは料理になった魚たち。サンマは塩焼きに、キンメダイは煮付けに、マダイは刺し身に、表紙にある通り、ビンナガマグロはツナ缶で登場です。クレヨンと侮ることなかれ。焦げ目が、照りが、あぶらが、実物以上においし...

  • 【本の情報】 焔 星野智幸さん

    星野智幸さん=伊ケ崎忍撮影■暗闇を歩き、たどり着いた希望 「暗闇の中を歩いてるみたいだった」。執筆の経過を尋ねたとき、ふとそんな言葉をもらした。 短編集のようにも、ひとつの長編のようにも読める本だ。燃えさかる炎を囲む人たちが、順番に物語を語っては、一人ずつ姿を消していく。 語られる話の多くは、登場人物が「人間ではない何か」になる物語だ。鳥になった男。お金になった男。地球になった男。「人間ってどうし...

  • 【本の情報】 フクシマ2011―2017

     写真家・土田ヒロミさんの作品集『フクシマ2011―2017』(みすず書房)が刊行された。『ヒロシマ』三部作で知られる土田さんは、福島第一原発事故後に福島県内12市町村に約120回出向き、汚染された自然などの風景を定点観測的に撮影。約5万点の中から190点を収めた。12960円。http://book.asahi.com/booknews/update/2018021300004.html?ref=rss2from ブック・アサヒ・コム 新着記事 http://book.asahi.co...

  • 【本の情報】 雲を愛する技術 [著]荒木健太郎

    ■雲の心を読む 去年の夏は暑かったが、今年の冬はとんでもなく寒い!なんだか、ずーっと異常気象が続いているような気分である。もう何が正常で何が異常かわからない。 天気の変化を知らせてくれるのが雲だ。たとえば西の空にあらわれた黒い雲が、雨のきざしであるように。 『雲を愛する技術』は、雲ができるメカニズムや細かな分類を解説した本。写真やイラストをふんだんに使い、恋愛にたとえてユーモラスに語る。著者の荒木健太...

  • 【本の情報】 光年の森 [著]谷口ジロー

     昨年2月に他界した谷口の絶筆遺作である。巻末の追悼文で、欧州では小津安二郎以上に尊敬されたと、仕事を共にした関川夏央が書き、病院に日参した編集者が闘病中の様子を綴る。 「風景が持つ感情」を語らせたいとの構想で描いたという第1話「森の声」は、母の郷里に引き取られた10歳の少年「わたる」が「森」へと誘われるまでを収録。山村の子供たちに挑発されて大木を登るシーンは、登山漫画を彷彿させる。惜しくもカラー...

  • 【本の情報】 ギリシア人の物語(1)~(3) [著]塩野七生

    ■西と東をぐぐっと引き寄せる 我が名はアレクサンドロス。 オリンポスの裏側、小国マケドニアの王から身を起こし、大ペルシアを制した者である。 苦楽をともにした兵士たちに引き留められ、インダス河より東に征(ゆ)くことはかなわなかったが、なんとそのはるか東方より、我が生涯を描いた女性歴史家が現れたと聞き及び、好奇の心に動かされて、2300年の眠りから、いっとき覚醒した。 イッソス、ガウガメラ、ヒダスペス...

  • 【本の情報】 思い煩うより優雅に笑ってすごそう 吉田伸子さん

    ■相談 働かない上司をぎゃふんと言わせたい 法律事務所に勤めています。上司が仕事をしないくせに偉そうな態度で馬が合いません。仕事中にネットを見たり、何をしているかわからなかったりすることがあります。私に気を使ってくれるときもありますが、機嫌が悪いときは怖いです。ぎゃふんと言わせてやりたいです。何かいい本があったら教えてください。 (岡山市、事務職員、女性・34歳) ■今週は吉田伸子さんが回答します あぁ...

  • 【本の情報】 残像に口紅を [著]筒井康隆

    ■喪失が生む小説の可能性 30年前、筒井康隆さんは本書と名作『文学部唯野教授』を同時期に連載していた。2作品に共通する濃密さを思うと、想像するだけで気が遠くなる。昨年11月に都内の筒井さんの邸宅で対談した際、そのことについて触れると「胃に二つ穴が開いて入院したね。1作品につき一つや」と笑い飛ばした。 実際、本書には胃に穴が開くほどのルールがある。主人公は小説家の佐治勝夫で、自分が小説の登場人物だと理...

  • 【本の情報】 炎の牛肉教室! 山本謙治さん

    ■おいしいを超え、牛の肉を知る 空前の肉食ブーム。だが日本の牛肉は混乱期だと言う。「A5ランク」「赤身肉」「熟成肉」など牛肉を表するキーワードが数々出回る一方で、その意味や実態、味わいとの関連も含めて理解している食べ手は限られる。牛肉の本当を伝えたくて筆をとった。 農畜産物流通コンサルタントであり、農と食のジャーナリスト、カメラマンとしても活躍する。通称「やまけん」。2003年から書いている「やまけ...

  • 【本の情報】 がんとともに 支配されるより豊かに生きる 最相葉月

     がん治療に劇的な変化が起きている。遺伝子解析に基づいて最適な治療を選ぶ「がんゲノム医療」の臨床がついに始まったのだ。受診できる病院は限られ、保険のきかない自由診療ではあるものの、あと5年もすればもっと身近になるはずだ。 すごい! これが一般人の私の反応。でも何がすごいの? 従来の治療とどう違う? そもそも、がんって何? 最適な医療を受ける前に、基本的なことをちゃんと知っておきたい。 ■医療の歴史知...

  • 【本の情報】 宿命の戦記―笹川陽平、ハンセン病制圧の記録 [著]高山文彦

     皇室が国内のハンセン病患者に多大な関心を寄せてきたことはよく知られている。だが世界ではいまなおハンセン病が完全に制圧されていないばかりか、差別の構造が依然として残っている。病の根絶と差別撤廃のため精力的な活動を続けているのが、日本財団会長の笹川陽平である。 本書には、著者が2010年から笹川と20カ国を回り、患者と接した驚くべき体験が綴(つづ)られている。なぜ笹川は、差別撤廃にこだわるのか。その...

  • 【本の情報】 (関連ニュース)手塚治虫作品のキャラクターも 「さっぽろ雪まつり」開幕

    冬の札幌を盛り上げる雪と氷の祭典「第69回さっぽろ雪まつり」が5日、札幌市中央区の大通公園などで始まり、大勢の市民や観光客でにぎわっている。 大氷雪像7基が並ぶメイン会場の大通公園には、「奈良・薬師寺大講堂」や、手塚治虫さん生誕90年記念の「鉄腕アトム」などのキャラクターが登場。 薬師寺大講堂は、寺が世界遺産登録されて20年の今年、HTBや薬師寺が企画。約4400個の雪の部品を組み合わせる独自技術で...

  • 【本の情報】 日常のネタ、友だちに話す感覚 群ようこ「かるい生活」

    群ようこさん 体も心も無理せずに。群ようこさんのエッセー『かるい生活』(朝日新聞出版)は、『ぬるい生活』『ゆるい生活』に続く、人気シリーズ3作目。還暦を過ぎてままならない体調と折り合いを付け、洋服や本をどんどん手放し、最後は家族との関係まですぱっとさようなら。軽妙な語り口は、読む人の心も明るく、軽くしてくれる。 風呂の湯が熱すぎるのに気づかずのぼせたり、久しぶりにスカートをはいて風邪をひいたり。ス...

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