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【本の情報】 明るい夜に出かけて 佐藤多佳子さん





<h1>明るい夜に出かけて 佐藤多佳子さん</h1>

[文]佐々波幸子  [掲載]2016年11月20日





■人と交わり、居場所見つける


 本作の主人公は20歳の男子学生・富山。人に触れたり、触れられたりするのが苦しく、トラブルを機に大学を休学中だ。お笑い芸人のラジオ番組を心の支えに、コンビニで深夜、バイトする。番組に投稿したネタの採用率が高い「職人」として知られた富山が、同じく「職人」の女子高生・佐古田や、バイト先の先輩らと関わるうちに、少しずつ殻を破っていく姿を描く。

 「人と出会い、交わるなかで、互いが少し変わり、自分の居場所を見つけていく。ずっと追いかけているテーマかもしれません」と振り返る。

 本屋大賞と吉川英治文学新人賞を受賞した『一瞬の風になれ』、『しゃべれども しゃべれども』『黄色い目の魚』など、不器用な若者が、つまずきながら一歩前へ進む物語を紡いできた。「他人に対して心を開けるようになっていけば、どこにいても人生は成り立つ」と伝える。

 「人間って、面倒くせえな」と内にこもっていた富山は、勇気を奮ってサボりがちな同僚に注意する。佐古田に触発され、歌詞を書く。人に触れるのはまだ難しいが、復学を決める。

 作中で大事な役割を担うラジオ番組は、自身が愛聴していた「アルコ&ピースのオールナイトニッポン」をそのまま登場させた。「架空の番組も考えましたが、本物に勝るものはなかった」と明かす。

 物語の終盤、富山と佐古田が夜の横浜を歩き、先のことを語り合う場面は印象深い。「お互い、かなり特別な存在だけれど、自覚していない。関係がまだ成立していない段階を書くのが好きなんです」

 本書のカバーを外すと、2人が目にした金沢八景の夜景が浮かび上がる。



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