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【本の情報】 心が折れる職場 [著]見波利幸





<h1>心が折れる職場 [著]見波利幸</h1>

[文]山口文憲(エッセイスト)  [掲載]2016年11月20日





■リスク回避へ、事例に説得力



 その昔は神経衰弱だった。それがある時期からノイローゼになる。いまではそれをメンタル不調と呼んで「心が折れる」と文学的ないい回しもする。

 では心が折れる職場とはどういう職場なのか。時代錯誤の長時間労働で新入社員を過労死させる会社? べつにそこまで極端な話にする必要はない。

 本書に出てくる類型でいうと、ハイリスクなのは、たとえば「飲み会の少ない」職場。あるいは「若手を叱ることもほめることもない」職場。つまり、仕事は普通に回っているものの、人間関係の活性がきわめて低い職場が、メンタル不調の温床になりやすいのだという。

 でもうちの課は大丈夫。課長の私がいつもよく目配りして、部下の一人ひとりに親身にアドバイスもしているし、と胸を張る人がいるかもしれない。

 ところがこれもアウト。本書には〈「アドバイス上手」な上司が部下の心を折る〉ともあって、じゃあどうすれば、という話なのである。

 著者は職場のメンタルヘルスの専門家。早くからこの問題に気づき、社内研修のメソッドの開発にもたずさわってきた人だという。しかしこれはいわゆる心の問題。プロにもこれという処方箋(せん)があるわけではない。

 とはいえ、実際の事例をたくさん見てきているのは著者の強みで、それがこの本の説得力を支えている。よく読まれている理由もそこにあるのだろう。

 読者は実際に職場で働いている人だけとは限るまい。たとえば、都会に就職した娘にメールをすると、夜の8時でもまだ会社にいるのでちょっと心配になっているお母さんとか。最近夫が無口になったのは、会社でなにかいやなことがあったせいなのではと疑い始めた妻とか。

 では、娘や夫の心をポッキリから守るにはどうしたら? 悪いけど正解なんてありません、というのが本書の結論のようにもみえる。ありきたりでも、「小さなサイン」や「心のSOS」を見逃さないことだろう。

    ◇

 日経プレミアシリーズ・918円=8刷6万部 16年7月刊行。

 オフィス街だけでなく郊外や地方でも売れている。「中高年男性に加え、若者や女性にも読まれている」と担当編集者。



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