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【本の情報】 LIFE SHIFT(ライフ・シフト) [著]リンダ・グラットン、アンドリュー・スコット [著]池村千秋





<h1>LIFE SHIFT(ライフ・シフト) [著]リンダ・グラットン、アンドリュー・スコット [著]池村千秋</h1>

[文]瀧本哲史(京都大学客員准教授)  [掲載]2016年12月11日





■「人生100年」のモデル示す


 年末になると今年を振り返る企画が増える。2016年のキーワードは「生き方、働き方の再構築」かもしれない。働き方改革、副業の推奨、過労自殺、トランプ大統領誕生の背景にある中産階級の没落、AI(人工知能)による職業消滅、保育園問題、優良伝統企業の経営危機、高齢化で会社の寿命より人の寿命が長くなる??。

 これだけのことが同時に起きれば、一つの会社でフルタイムで終身雇用という「幻想」が成り立ち得ないことは、どんなに鈍感な人でも気がついたように思う。とはいえ、こうした環境の変化に対して、不安をあおるのではなく、新しいパラダイムを提示する言説は少ない。その数少ない本が、本書である。

 原題の「100年人生」が示すように、人が100年生きる世界を想定したときに、どのように生き方、働き方を考え直さなければならないのかを提示している。大きく言えば、「教育→仕事→引退」という3ステージ型のモデルは成り立たなくなる。生涯働き続ける可能性が高いし、環境変化に応じてキャリアのステージを変えていくことも避けられないので、教育は生涯続くことが予想される。一方、長時間労働は目の前のキャリアに最適化して、その「一点買い」になるから極めてリスクが高い。

 著者は働き方、生き方のみならず、金融資産から交友関係に至るまで、広い意味での「資産」について包括的な問題提起をしている。様々な立場の人たちが立ち止まって考えるキッカケを与えてくれるのだ。

 私自身は元々複数のキャリアに分散していて、本書で言うところの「ポートフォリオ・ワーカー」である。実は著者の主張の少なくない部分は実践済みだ。むしろこの本がこれだけ売れているとして、実際にどれくらいの読者が「ライフ・シフト」に取り組み、日本が変わるのか、そこにとても興味をそそられる。その点、本書は読者に対する挑戦状と言えるだろう。

    ◇

 東洋経済新報社・1944円=4刷11万部

 16年10月刊行。2著者はロンドン・ビジネススクールの教員。「長時間労働の問題が従来の生き方を問う契機になった」と担当編集者。



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