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【本の情報】 ゼロからわかるキリスト教 佐藤優さん





■「神」を論じる不可能に挑む


 主題は「神とは何か」という大きな問いだ。過激派組織「イスラム国」などによるテロが相次ぎ、資本主義を中心とする近代システムが限界をみせる「危機の時代」。だからこそ言語化が難しい神の領域を言語化しようとする「不可能の可能性」に挑む意味があるというのだ。

 「神学は面白い学問で、諸学のパラダイム転換を先取りするんです」

 題材にしたのは「民衆のアヘンである」と宗教を批判したマルクスの論考「ヘーゲル法哲学批判序説」だ。神が人間をつくったのでなく、人間が神をつくったとする論を、弁証法神学から仏教の阿頼耶識(あらやしき)、妖怪ウォッチなどにも触れ、深めていく。

 講座をまとめた本。話し言葉ということもあって毒をちりばめた佐藤節が炸裂(さくれつ)している。マルクスを「議論が循環してしまった」と批判。哲学者ハーバーマスは「頭のいい人」だが「性格が悪い」。弁証法神学の立役者カール・バルトも妻がいながら女性看護師に助手をさせ、寝室も隣にしたとして「人格的には破綻(はたん)していました」と言い切る。

 自身はクリスチャン。信仰の道に入ったのは「外圧」だった。「母に無理やり教会に連れて行かれた。神社に行っても『さい銭入れるな』『みこしを担ぐな』と言われた」

 だが主体的な判断より、強制的に内在化された神に「無意識の領域まで支配される」経験にこそ本質がある、とみる。「決断は人間の主観的判断だから変わりうる。信仰は感化であり伝染なんです」

 月90本の締め切りを抱える多忙な生活。癒やしてくれるのは飼い猫たちという。「猫は東京地検特捜部に行ったり裏切ったりしないですから」

    ◇

 新潮社・1296円






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