RSS

【本の情報】 宮柊二『山西省』論 [著]佐藤通雅






 日中戦争下で、山西省は象徴的な意味をもつ。激しい戦闘と軍事上は「戦争」の残酷さを、政治上も戦後は軍閥閻錫山(えんしゃくざん)に組みこまれ日本兵が国共内戦に巻きこまれた。歌人の宮柊二は、この山西省で「一兵」として4年間戦った。

 その宮の歌集『山西省』は戦後に編まれたが、私も昭和史探求の一環としてこの歌集にふれ、その写実性に驚いた。本書の著者は歌人の先達の作品としてこの歌集を読んだわけだが、戦闘の非日常性、非人間性にどのような表現(言葉)を重ね合わせることができるのかという視点で、一首ずつの世界を見る。

 著者はこの歌集の「昭和十五年」の章の「おそらくは知らるるなけむ一兵の生きの有様(ありざま)をまつぶさに遂げむ」を到達点と見る。これを昭和十三年来の客観的手法から一転しての「述志詠」と言い、この歌を詠む宮柊二に迫っていく。この歌の中に日本文学・世界文学への通路があるとの分析が本書の主題だ。








http://book.asahi.com/reviews/reviewer/2017061100010.html?ref=rss2


from ブック・アサヒ・コム 新着記事 http://book.asahi.com/rss/rss2.rdf

スポンサーサイト
トラックバック
トラックバック送信先 :
コメント
▼このエントリーにコメントを残す