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【本の情報】 噺は生きている―名作落語進化論 [著]広瀬和生






 落語が音源という形でアーカイブ化され続けている今、異なる演者による同一演目の「聴き比べ」は容易にできるようになり、それは登山に例えるならば、だれがどのルートを辿(たど)ってその山に登頂したかを確認することに近い楽しみがある。

 著者の広瀬さんはほぼ毎日どこかで落語を聴いている。同時に音楽誌の編集長を長年務め、音源や映像の書誌情報化もお手の物。つまり、ひとつの噺(はなし)に関して、過去の名人と現在の落語家の演じ方や継承のされ方も俯瞰(ふかん)して一覧できる稀有(けう)な存在。最強の観客だ。

 聴き比べとなると定番の「芝浜」だけが語られがちだが、「富久」「紺屋高尾」「文七元結」なども分厚く取り上げてくれたのがうれしい。山が、エベレストだけではないように。

 比較はしても一番は決めない執筆姿勢も、演者と演目は切り離せない関係にありそれぞれを味わいとして楽しむものだという広瀬さんの落語観が感じられ、頼もしく、心地よい。







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