RSS

【本の情報】 「本」をテーマに書評合戦 「ビブリオバトル」を体験






■経験者から初心者まで入り乱れてバトル



 築地本マルシェの1日目、歌人・穂村弘さんとビブリオバトル普及員会代表・岡野裕行さんによる対談の後、20代から60代までの参加者28人が、実際に書評合戦を体験した。

 参加者はいずれもこの日が初対面。「書店や図書館で開催されるバトルに顔を出している」という、経験者の鈴木光さん(東京都・26歳)がいれば、「興味はあったが参加するのは初めて」という渡辺興二郎さん(東京都・69歳)など、顔ぶれは様々だ。

 今回、事務局が事前に提示していたテーマは、ずばり「本」だった。

 まず全員が4つのグループに分かれ、その中でプレイヤー(=発表者)を4人決める。各プレイヤーは持参した「本」にまつわる本を5分間プレゼンし、その後3分間にわたり質疑応答を行う。

 進行を務めた普及委員の益井博史さんは、ソロモン諸島での読書推進活動を終えて帰国したばかり。「識字率が低く、本に触れる機会の少ない国でしたが、ビブリオバトルは大成功を収めた」と報告すると、「さあ、一人目のプレイヤーに、なぜその本をこのテーマで選んだのか、プレゼンしてもらいましょう!」

 会場のスクリーンにタイマーが表示され、カウントダウンが始まる。

 書店員を主人公にした小説やエッセイ、焚書坑儒を連想させるSF小説、1000冊を超える書評集を読み解く案内書、西洋文学の世界を旅するような幻想小説、本は本でもマンガ本の解説書など、持ち寄られた本は一冊として同じものがない。

 意表をついたところで、「本」を基本の「本」ととらえ生態系の基礎を学ぶテキストや、中学の国語教科書を「本に親しむ入口になっている」と取り上げたプレイヤーも。

 あっというまに5分が経ち、質疑応答に突入だ。

 「なぜ、その本を?」「表紙の写真に惹かれました。装丁の役割は大きい」

 「読みどころは?」「古典といわれる作品の背景が紹介されているところ。しかし難しいので自分でさらに掘り下げたい」

 「どんなとき役に立つ本?」「SNSに書き込むときとか。この本のとおりに書けば簡潔な文章が書ける。今やってみましょうか?」

 どのグループからも、プレゼンよりむしろ質疑応答の時間で、「ああ」「なるほど」など納得の声が聞かれた。短い時間ながらも、その本を選んだプレイヤーの本音に迫れるからかもしれない。



■読書の新しい楽しみ方を知る



 プレゼンがすべて終わったら、グループの中で「チャンプ本(=読みたくなった本)」を選ぶ。プレイヤーは自選以外の本を、参加者は自由に、いっせいのせいで指さす。票が分かれ、チャンプ本が3冊になったグループもあった。

 「ビブリオバトルの目的は、いちばん面白い本を決めることではありません」と、進行役の益井さん。「“読みたくなった本”に出会う、そういう場になれば」

バトル初体験の高橋麻衣子さん(千葉県・43歳)は、勇気を振り絞ってプレイヤーになった一人だ。「身を乗り出して本の話を聞いてくれる人がいる。それがわかって驚いたし、とてもうれしかった」と、読書の新しい楽しみ方を知った。

 会場には、対談を終えた穂村さんも観覧者として加わっていた。感想を求められると、「みなさんメンタル強いですね」と称えつつ、「本屋で立ち読みしている人を見かけると、潜在的な友人に会ったみたいな感覚を覚えますが、それと同じ空間性をこの場に感じた」と述べ、大きな拍手に包まれた。

 いかにして多くの読書欲をかきたてるか──。ビブリオバトルは、プレイヤーとして臨むなら、本選びの段階から戦略を練ったり、話術を磨くなどの対策もあるのだろうが、最終的には、作品への愛情やリスペクトが人の心を動かすのだとわかる、本と自分の関係を問い直す戦いの場でもあった。(文・安里麻理子、写真・首藤幹夫)





◆プレゼンされた本◆ ★はこの日のチャンプ本

『書店ガール』碧野圭著/PHP文芸文庫

『ちょっと本気な 千夜千冊 虎の巻』松岡正剛著/求龍堂

★『探してるものはそう遠くはないのかもしれない』新井見枝香著/秀和システム

『国語1』(光村書店)から「ダイコンは大きな根?」筆者・稲垣栄洋/出典『キャベツにだって花が咲く~知られざる野菜の不思議~』光文社新書『囀る魚』セシェ・アンドレアス著/酒寄進一訳/西村書店

★『学べるマンガ100冊』佐渡島庸平、里中満智子、藤本由香里、本山勝寛ほか著/文藝春秋

『本屋風情』岡茂雄著/中公新書

『本の魔法』司修著/朝日文庫

★『ベスト珍書 このヘンな本がすごい!』ハマザキカク著/中公新書ラクレ

『テンプレート式 超ショート小説の書き方』高橋フミアキ著/総合科学出版

『はてしない物語』ミヒャエル・エンデ著/上田真而子、佐藤真理子ほか訳/岩波書店

★『華氏451度 新訳版』レイ・ブラッドベリ著/伊藤典夫訳/ハヤカワ文庫SF

★『グリーンセイバー 植物と自然の基礎を学ぶ』片山雅男、清水善和、下園文雄ほか著/研成社

『正しい本の読み方』橋爪大三郎著/講談社現代新書

『ひとり空間の都市論』南後由和著/ちくま新書

★『本を読むひと』アリス・フェルネ著/デュランテクスト冽子訳/新潮社








http://book.asahi.com/reviews/column/2018031300012.html?ref=rss2



from ブック・アサヒ・コム 新着記事 http://book.asahi.com/rss/rss2.rdf

スポンサーサイト
トラックバック
トラックバック送信先 :
コメント
▼このエントリーにコメントを残す